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最高裁判所第一小法廷 昭和35年(オ)737号 判決

上告人

グレート・アメリカン・インシユアランス・カンパニー

右訴訟代理人

ウイリアム・ローガン・ジユニア

吉本英雄

ほか三名

被上告人

アライド・インダストリアル・コーポレーシヨン

右訴訟代理人

レオン・アイ・グリンバーグ

浜田三平

ほか一名

主文

原判決中上告人敗訴の部分を破棄する。

右部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。

理由

上告代理人ウイリアム・ローガン・ジユニア、同吉本英雄、同高島信之、同安達徹、同根本博美の上告理由第一点および第六点について。

原審の事実認定は、挙示の証拠によつて肯認できないわけではない。所論は畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実認定の非難に帰し採用できない。

同第三点について。

原審の認定したところによれば、昭二八年一月二二日当時ウオーレン・エフ・プロボストは上告会社の日本における代表者であつて、本件契約について上告会社の代表者と同一の権限を有し、当時ビアンカはプロボストを代理する権限を有していたというのであり、右認定は挙示の証拠によつて肯認できる。しからば、本件保険約款一五条の規定の存在にもかかわらず、ビアンカが右同日プロボロストを代理してなした出訴期間延長の許諾を有効とした原審の判断は正当である。それ故、論旨は排斤を免れない。

同第二点について。

本件保険契約締結に当り、グインの提出した陳述書中に同人の前歴として同人が一九四九年九月より一九五〇年七月までlawyerであつたとの記載あることは当事者間に争のないところである。原判決は、「lawyerは弁護士という意味の外に弁護士をも含めてより広く法律家の意味にも使用されることのあることは当裁判所に顕著である」とし、「グインは一九四九年一月から九月までアラバマ大学の法律学生であつたことが認められ……グインは法律について多少の専門知識を有し、広い意味では法律家といえないこともない。しかもグインの地位は会計係であつて、純粋の法律職でないことを合せ考えると、lawyerとの記載は虚偽又は真実でないものとは必ずしも断定できない」と判示しているが、この点に関する原審挙示の証拠を綜合して考えれば、本件において右lawyerとは自ら法律事務に従事する弁護士と解すべき余地が充分に窺われるものである。しからば、原判決はすべからくこの点についてlawyerの意味するところが何たるかを説示すべきであつたのである。そして本件においてlawyerを右のごとく弁護士の意味に解すべきものであるならば、原判決グインが前示期間に亘つて果して弁護士の実務に従事したか否か、もし従事し、またはしなかつたならば、そのことが本件保険契約の効力に関していかなる影響を及ぼすべきかを、本件約款との関係において明らかにすべきであつたのである。しかるに、原判決はこれらの点につき何等説示するところがないから、原判決はこの点で審理不尽、理由不備の違法ありとせざるを得ないのである。

同第四点について。

本来保険制度は、将来発生すべき危険の蓋然性を予測し、その危険に曝される多数の者にその危険率を公正分担せしめようとするものであるが、各種の保険はその性格、危険選択の方法、危険分散の程度等のため、契約内容がそれぞれ特異性を有するに至ることは当然である。

しかして、信用保険に関する本件についてこれを見るに、成立に争のない甲一号証によれば、保険者たる上告人の責任がグインの不正行為により直接惹起された損害のみに及ぶとの約があつたことが窺われるのである。

しかるに、原判決は被上告人が公認会計士に支払つた費用につき、それは「直接発生した損害」ではないが、グインの金員の窃取又は横領と「相当因果関係のある損害」として、上告人にその支払義務あるものと判示したのである。もとより損害保険においては、特別の事情がない限り、保険者は契約所定の保険事故が発生したときは、これと相当因果関係のある損害について、保険金支払の義務を負担するものであるが、これと異り、本件信用保険契約において、上告人の顛補すべき損害の範囲が直接損害に限定されるならば、特約のない限り、被上告人は公認会計士に支払つた費用を保険事故に因る損害として当然その支払を求めうるものではないのである。要するに、原審はすべからく上告人の責任の範囲が直接損害に限定されるや否や、もし直接損害に限定されるとせば、商法六三八条二項との関係如何について判断し、この観点よりして会計士に支払つた費用の賠償を求めうるや否やを判断すべきであるにかかわらず、これについて何等説示するところがない。従つて、原判決はこの点でもまた審理不尽、理由不備の違法ありといわざるを得ないのである。

同第五点について。

原審は本件において被上告人が弁護士に支払つた費用は、会計係たるグインの金員窃取又は横領行為によつて直接発生した損害ではないが、これと相当因果関係のある損害であるとして上告人にその支払義務ありと判示したのである。思うに、いわゆる弁護士費用が賠償として請求しうる損害の範囲に属するか否かは、相当因果関係との関連において、従来論じられた問題であるが、今本件について、上告人の責任の範囲が直接損害の賠償に限られるならば、被上告人は上告人に対して保険契約に基づき、弁護士費用の支払を求めえないことは明らかである。しからば原判決はすべからく、これらのことにつき判断すべきであつたのにかかわらず、これらについて何等説示することがないから、原判決はこの点についても審理不尽、理由不備の違法ありといわざるをえない。

よつて、民訴四〇七条一項に従い裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官松田二郎 裁判官入江俊郎 長部謹吾)

(裁判官斎藤朔郎は死亡につき署名押印することができない。)

上告代理人ウイリアム・ローガン・ジユニア、同吉本英雄、高島信之、同安達徹、同根本博美の上告理由

第一点原判決に訴外ジエリー・ウオルター・グイン(以下単にグインと略称す)が被上告人の会計係として雇われて居た昭和二十六年十月頃から、昭和二七年六月十二日までの間に於いて然も本件責任保険の保険期間中である昭和二十七年一月二十五日から同訴外人が退職した同年六月十二日までの間に於いて、同訴外人がニユーヨーク市のチエイス・ナシヨナル銀行の被上告人の口座に振込むために、同年六月十日に金額二〇五弗の小切手一通、同月十一日に金額五〇弗、四〇弗、七〇〇弗、五七九弗七九仙の小切手各一通、同月二十一日(退職後に)金額九、〇〇〇弗、三、〇七三弗三四仙の小切手各一通以上合計七通で、一四、〇〇八弗一三仙の小切手の内金額二〇五弗、四〇〇弗の小切手二通を除く他の五通の小切手合計一三、四〇三弗一三仙に相当する金額を同訴外人が保管中の被控訴人の金銭から窃取又は横領したことを推認するを相当とすると認定し、

その認定の理由として「……以上合計七通で一万四千八弗十三仙の小切手を送附したとの送金状の控(甲十乃至第十二号証)があり、帳簿上もこれに応じた記載がなされているにもかかわらず同銀行には右のうち二百五弗及び四百弗の小切手二通計六百弗が送金されただけで、他の五通合計一万三千四百三弗十三仙の小切手については同銀行に到達しないばかりではなく振出人も明らかにすることができず、グインはこのことについてなにも具体的合理的な説明をすることはできなかつた。他に右認定を動かすことのできる証拠はない。」とし、更に右の如く認定した証拠として甲第十三号証、乙第七、八号証、甲第五、六号証、同第七号証の一、二、同第八号証、同第九号証の一乃至三、第一審並に原審に於ける証人イー・ジエー・ブイ・ハツト並に第一審並に原審に於ける証人レオン・アイ・グリンバーグの各証言を引用している。

然し、原裁判所が証拠として引用した甲第十三号証を検討して見ると、同号証は本件で被上告人の訴訟代理人であるレオン・アイ・グリンバーグ氏が上告人宛に一九五三年二月二十六日附を以て差出した損害の明細書に過ぎないものであるが同号証中に記載されているところの、送金されたと報告されているのが実際には届かつた小切手合計一万三千四百三弗十仙の記載について見ると同金額が甲十三号証に損害額として記載されているのは、公認会計士事務所であるロービンガム・トムソンが行つた公式会計検査の結果出された金額を損害金額として記載しているに過ぎないことは、甲第十三号証の冒頭の記載自体から明瞭である。

従つて甲第十三号に損害額として記載されている一万四千八弗十三仙の金額に、甲第十三号の作成者であるグリンバーグ氏自身又は彼を弁護土として雇入れた被上告人の役員又はその他の者が実際に調査又は集めた具体的資料によつて明瞭に証明された根拠によつて、訴外グインが一万四千八弗十三仙を窃取又は横領したと云うことが知られた結果として、甲第十三号証に被上告人の蒙つた損害として記載されたものでないことも又明瞭である。

要するに甲第十三号証に記載されている一万四千八弗十三仙の金額は、前記公認会計士事務所の検査報告書に記載されている結論を根拠として、甲第十三号証の作成者又は被上告人の役員の誰かの勝手に為した推定的結論即ち訴外グインが同金額を費込んだと云う結論を附して、被上告人の蒙つた損害の一項目として甲第十三号証中に書かれているものである。

従つて同号証中に書かれている一万四千八弗十三仙の金額が実際に訴外グレイによつて本件保険期間中に費込みが為されたか否かは、前記公認会計士事務所の作成した検査報告書の内容を仔細に検討した後でなければ甲第十三号証中に記載されている一万四千八弗十三仙が実際に訴外グインによつて本件保険期間中に然も会計係として雇われている間に費込まれたものかどうか、又それを原因として被上告人に損害が発生したものであるかどうかは不明であつて、甲第十三号証自体は単独に斯る事実を証明する価値を有するものでないことは甲第十三号証の記載自体によつて明らかである。<以下省略>

第二点上告人が原審に於いて訴外グインが本件保険申込に際して提出した陳述書中(甲第二号の二)に於ける自己の経歴に関する事項中弁護士の資格が無いのに弁護士があつたと虚偽の記載したことは保険証券(甲第一号証の二)の約款に違反して居るから保険約款の条項に従つて本件保険契約は無効であると主張したことに対して原判決は「……しかしながらLawyerは弁護士という意味の外に弁護士をも含めてより広く「法律家」の意味にも使用されることのあることは当裁判所に顕著であるばかりでなく成立に争のない甲第二号の二によると右陳述書の他の部分ではジエイムズ・W・イネスの職業としてAttomeyと記載されていることを考え合わせると、右Lawyerの記載は必ずしも「弁護士」に限定する意味であるものとは解することは出来ない。しかも、右甲第二号証の二によると、グインの昭和二十四年(一九四九年)一月から同年九月までアラバマ大学の法科学生であつたことが認められ、この認定を左右することの出来る証拠はないから、グインが法律について広い意味では法律家と云えないこともない。然も被控訴会社でのグインの地位は、会計係であつて純粋の法律職でないことを併せ考えるとLawyerとの記載は虚偽又は真実でないものとは然ずしも断定できない。亦右の程度のわずかな相違が本件保険契約を締結するかどうかを左右する程度のものとも解することもできない。」と判示している。

勿論単にLawyerと云う言葉を抽象的な意味の解釈として考察した場合には、原判決の通りとなること上告人等も首肯し得るところである。上告人等は原審においてグインがなした陳述書中における記載が単にLawyerと記載されていることのみを以てグインが弁護士の前歴を有すると記載したと主張したものではない。甲第二号証の二記載の事項中、一九四九年九月から一九五〇年七月までの間同人の前歴として雇主の住所、氏名欄中にLaw Practice及びSelfとの記載があること又、貴殿の地位並びに勤務場所欄中にLawyerの記載あること更に貴殿の勤務先の名称、並びに現住所欄中にSelfと記載されていることを総合的に判断すればグインの前歴として書かれた事項は弁護士と解釈する以外にないと主張したものであり(上告人が原審において提出した昭和三十二年一月二十四付準備書面第三項参照)これに対し前示の如く原審が判断を為しているものである。然してグインが弁護士として適法に登録されてなくその資格を有しなかつたこと乙第四号証によつて明らかであるから、此の点についてグインの記載は虚偽の記載と云うの外無いといわねばならぬ。結局原審の判断は単にLawyerと云う言葉のみをとらえて為しているものであつて、上告人等が前記の如く原審で主張したLawyerと云う言葉以外の言葉とを綜合的に併せ考慮しないで為されたものと云うの外なく従つて原審の判断は単に上告人等の主張に対する一部の事項のみに対して為され他の部分に対する判断を欠いたものであるから、当事者が主張した事実について判断をしなかつた判決と云うべく、かかる判断の欠缼は結局当事者の主張事実に対する判断を欠いた判断遺脱と云うべく斯る判断の遺脱は判決の結論に対して重大な影響を及ぼすものであるから原判決は破棄されるべきである。

原判決は、その判断の中に於いて、「右の程度のわずかな相違が本件保険契約を締結するかどうかを左右する程度のものとも解することは出来ない。」と述べているがかかる判断は本件保険契約の約款の効力(甲第一号証の二)に対する法律上の判断をあやまつたものであるから破棄をまぬがれないこと左記の通りである。即ち甲第一号証の二中第一条には左記の如く記載されている。

「使用者は本証書の日付において雇人が使用者又は他の私人、商店、もしくは会社の何等かの地位に雇傭されている間に何等かの不正行為をおかしたと云うことについては何等知ることがないこと本保険を確保するために使用者が為した陳述はその中における質問に対する回答を含み使用者によりその真実性を保証され且つ本証券中に記載されたと同様に本証券の一部をなすものであり、然して右陳述中の一部たりとも、虚偽又は不真実があれば本保険契約上の責任は当初から無効となる。」と記載され、更に第七条には次の如く記載されている。即ち「使用者が法人である場合は役員又は取締役の一人が知つていることは使用者自身の認識と看做される。」然して訴外グインが被上告人会社にトレジヤラーとして雇傭されたことは当事者間に争いのないところであり、外国法人に於けるトレジヤラーとしての地位は同法人に於ける役員たる資格を有することが一般的経験則であり、かつ乙第八号証にも明示されている所である。従つてトレジヤラーとして被上告人に雇傭された訴外グインも亦、同社の役員としての地位にあつたものであり以上の事実と本件保険証券第一条並びに第七条の規定等を併せて綜合的に判断すると本件保険を獲得するために提出されたグインが記載した甲第二号証の二の記載事項も亦、被上告人によりその真実性を保証され本件保険証券中に記載されたと同様に本件保険証券の一部を成すものとせられることけだし当然と云わねばならない。然してグインの甲第二号証の二中における前歴に記載が虚偽又は不真実であるとせられること前述の通りである以上、第一条が「右陳述中の一部たりとも虚偽又は不真実があれば本保険の責任は当初より無効とされる」との記載からみて本保険契約は当初から無効となつたと判断することが本保険契約上認められる当事者の意思解釈として当然とせられなければならない。けだし第一条には陳述書中における虚偽又は不真実の程度並に範囲に関する何等の制限が付せられていないところからみて、第一条の規定は虚偽又は不真実の程度並びに範囲について第三者が勝手に斟酌をゆるさない規則であると解すべきであるからである。然るに原判決が第一条の規定の趣旨を不当に誤解し「右程度の僅かな相違が本件保険契約を締結するかどうかを左右する程度のものとも解することができない。」と判示したのは本件保険証券中に於ける第一条並びに第七条の規定の趣旨を誤解し不当に法律上の結論を導いたものであるから違法な判決との非難をまぬがれない。斯る違法は亦、判決の結論に重大な影響を及ぼすこと明らかであるから破棄をまぬがれないものと信ずる。

第三点上告人が原審において当時上告人の日本に於ける営業所に勤務していた訴外ランス・ラ・ビアンカが被上告人の求めに応じて一九五三年一月二二日付手紙により(甲第三号証)本件保険証券第五条に定める出訴期間を一九五三年六月二七日まで延長する旨の通知をしたことは同保険証券第一五条後段の規定に違反してなされたものであるから、右訴外人の為した期間延長は無効であると主張したことに対し、原判決は「本件保険約款一五項に契約条項の変更は控訴人会社の社長、副社長、セクレタリー、アシスタント・セレクタリーによつて作成された書面によるものでなければ無効である」との規定があることは当事者間に争いがない。(中略)昭和二八年一月二二日当時ウオーレン・エフ・プロボストは控訴人会社の日本に於ける総支配人であり、且つ外国保険事業者に関する法律第四条に定められた控訴人会社の日本での代表者であつたことが認められる故に本件契約について同人は控訴人会社の代表者と同一の権限を有するものといわなければならない。(中略)ランス・ラ・ビアンカは当時控訴人会社の日本での営業所の副支配人であり、日本での代表者不在の時は、保険金請求訴訟の出訴期間の変更について代表者を代理する権限を有したことが認められるから同人が作成した書面は本件契約の内容を変更することのできる約款第一五項に該当する書面であることを認めることができる」と判示している。然し右の如き原判決の判断は左記の如く違法且つ理由不備があるものである。即ち本件保険証券第一五条に契約条項の変更は上告人会社の社長、副社長、セクレタリー、アシスタント・セクレタリーによつて、作成された書面によるものでなければ無効であると定められているのは、保険条項による危険の変更について上告人が蒙ることあるべき保険責任の変更を来たすことに対して上告人の最高責任者である社長、副社長、セクレタリー、アシスタント・セクレタリーが斯る変更に直接関与し、保険条項の変更による保険責任の変更について直接考慮する機会を与え、以て上告人会社の予測せざる責任の増加と保険団体自体に対する損害の増大を予防しようとする趣旨から斯る条項が定められているものである。

また、斯る変更について書面の作成が要求されているのは保険条項の変更の明確化を期する目的であることは第一五条の規定の趣旨からみて明らかに看取し得るところである。従つて保険証券第一五条の規定は、同条に記載されている上告人会社における地位にある者のみが保険契約条項の変更をなし得る権限を有するものであることを明確に限定した規定であると解すべきであつて例え同条に規定されている社長、副社長、セクレタリー、アシスタント・セクレタリー以外の者で法律上、上告人会社を代表し又は代理する権限を有する者が他に存したとしてもそれらのものによつて本件保険契約条項の変更に関する限りその権限がないことを明確に規定したものであつて然も本件保険証券に定められている第一五条を含む条項全体が本件保険契約の当事者間における保険契約上の合意の内容をなしていることも亦、明らかであるから被上告人自体においても本件保険契約上の特約として保険契約条項の変更をなす権限を有するものは第一五条に記載されている者に限ることを承認した上で本件保険契約が締結されたものと考えることが第一五条の条項の解釈として経験則上当然と云わねばならない。然るに原判決は単に当時の上告人の日本での代表者であつたウオーレン・エコ・プロボストが法の規定の解釈上、上告人会社を代表する権限を有したと解釈されることを根拠として第一五条に記載されている者に該当しない同人が本件保険契約条項を変更する権限を有するとの解釈を下し更に副支配人であつたランス・ラ・ビアンカがプロボスト不在中は同人の有する権限を代理する権限を有するとの前提の下にビアンカが作成した出訴期間の延長を承認する旨の一九五三年一月二二日付手紙(甲第三号証)を有効なものと判断したことは保険証券第一五条の規定の趣旨を誤解し、不当に法律上の結論を導き出したものと云うの外なく、もし原審が右の如き誤解におちいらないで同条の規定の趣旨を正当に理解し、それに基づいて法律上の効果についての判断を下した場合には原判決の結論は原判決に示されているものと反対になつたはずである。従つて原判決は誤解に基づく不当な法律上の結論を導き従つて又、理由不備の違法な判決であつて斯る不当違法は亦判決の結論に重大な影響を及ぼしているものであるから破棄せらるべきである。

更に原判決は、原判決の導く事実の認定について証人レオン・アイ・グリンバーグの証言のみを引用し、他の証人エドワード・ビー・リードの証言を信用出来ずとして排斥している。然して証人グリーンバーグ氏は本件訴訟における被上告人の訴訟代理人であり且つ上告人会社にとつては外部の人間であるに反し、他の証人リード氏は右証言当時上告人会社の日本での代表者であつたこと本件訴訟記録上明らかである。

然してランス・ラ・ビアンカが一九五三年一月二二日当時上告人会社の日本に於ける営業所に於ける副支配人であつたか又同人が副支配人として如何なる範囲の一般的代理権限を有していたかは全く上告人会社の内部機構並びに同人に対する一般的授権の範囲の問題であつて会社の外部の人間である証人グリーンバーグ氏の確定的に知り得べからざる事項に属する問題である。斯る事項に関しては会社の内部の人間であり、当時上告人の日本での代表者であつたリード証人の証言により真実性並びに適確性を認め得べきであるに不拘、原審がグリーンバーグ証人の証言を信用し、リード証人を信用しないとして排斥したのは、証拠の評価における経験則を無視し信用すべからざる証拠を引用し、信用すべき証拠を不当に排斥した採証法則違反を犯しているものと云うの外なく、斯る違反は亦、判決の結論に対して重大な影響を及ぼしているものであるから原判決はこの点から云つても破棄されねばならない。

第四点上告人が原審において公認会計士に支払つた手数料一、二五〇弗は本件保険によつて補填されない金額であるから被上告人の請求金額から控除さるべきであると主張したことに対し原判決は「会計士に支払つた費用は会計係の金員の窃取又は横領の行為によつて直接発生した損害でないことは勿論であるから、もし本件の場合でもグインの窃取又は横領行為による損害額を会計士による会計検査によらなくとも控訴人で之を認められる程度に証明できたとすれば右費用は相当因果関係のあるものとは認めることはできない。しかし本件の場合はグインが被控訴人の東京営業所の唯一の会計係であつたために同人の金員の窃取又は横領について正確な調査がきわめて困難であつて会計監査によつて、はじめて明らかにし得たが控訴人は右会計士の会計監査さえも信用しないグインの金員の窃取又は横領の事実及びその額を争つているのであるから被控訴人がグインの金員の窃取及び横領について会計士に監査を依頼したのは必要であつたと認めるを相当とする」と判示し更に「他方本件の損害保険の趣旨はグインの金員の窃取又は横領によつて受けた被控訴人の損害について保険金額二五、〇〇〇弗の限度内では被控訴人に充分に填補する趣旨であることを合せ考えれば被控訴人の会計士に支払つた手数料はグインの金員の窃取又は横領と相当因果関係のある損害と認めるを相当とする」と判示している。

然し本件保険証券によつて上告人が被上告人の蒙つた損害を保険金額二五、〇〇〇弗の限度内で填補することを約したのは、被上告人の蒙つた損害の内、グインが被上告人の会計係(トレジヤラー)として傭われている期間中であつて同グインが右トレジヤラーの職務に従事している間に窃盗又は横領行為をなしたことによつて被上告人に生じた金銭その他の損害に対してのみ填補する約束であつたことは本件保険証券(甲第一号証の二)全文の記載によつて明らかなところである。然して右全文の記載を仔細に検討すれば“By reason of any act of acts of Larceny or Embezzlement on the part of Jerry Walter Gwin”(訳文ジエリー・ウオルター・グインの窃盗又は横領行為によつて)と規定されているものであつて、右行為によつて発生した損害に限り填補することを約したことは明らかと云わねばならない。従つて損害填補の原因はグインのなした窃盗又は横領行為に限るべきものであつて右規定の解釈によつてその原因が不当に拡張さるべきものでないことは当然と云わなければならない。

他方本件保険証券の前文の記載も又本件保険契約における当事者の合意の内容と解すべきであること異論をさしはさむ余地のない所であることに鑑みれば被上告人自身に於ても本件保険によつて填補される損害の額はグインが被上告人会社にトレジヤラーとして雇われその職務に従事している間に為した窃盗又は横領行為を直接原因として被上告人が蒙つた損害に限ることを承認した上で本件保険契約を締結したと解することが当事者の意思解釈に於いても亦通常認め得るところとしなければならなかつた筈である。

従つて、本件保険契約によつて填補される被上告人の蒙つた損害の額はグインの窃盗又は横領行為を直接の原因として発生した損害額に限定さるべきであつて、グインの右のような行為を直接の原因としない損害額については、例えその額がグインの窃盗又は横領行為と相当因果関係のある損害と云う理由丈けで保険によつて填補される損害の範囲に算入すべきではない。何となれば保険によつて填補されべき損害の額が濫りに保険契約の条項に定められているところと相違して認められるとしたら保険者は契約当時予定した額と保険金支払の時に於ける額とに相違を来す結果として、保険団体に於ける危険率と損害率との測定に不測の違算を生ずることとなり延いては保険の対大衆性並に公益性の基礎から見て保険団体に対して好しからざる影響を及ぼす結果となるからである。

原判決は保険契約条項の解釈を誤り且つ保険制度に対して適用さるべき右の如き基本的法則を無視して敢えて公認会計士に対して被上告人が支払つた手数料までも本件保険によつて填補される損害としてこれを認めたことは保険契約の条項に対する解釈を誤りその結果として同条項の法律上の効力に対する認識をも亦誤つた違法を犯しているのみならず、更に保険契約に対して一般的に適用される保険制度の一般法則をも無視して前記の如く判決を為したものであつて、斯る違法不当並に法則の不適用は亦判決の結論に対して重大な影響を及ぼすものであるから破棄を免れない。

更に原判決は左の点について重要な誤りを犯しているものである。公認会計士に支払われた一、二五〇弗の手数料は被上告人によつてその支払が為されたこと原審に於ける審理の過程に於いて明らかであり裁判所の記録上にも認め得るところである。

然して保険事故発生の場合に於いて保険契約に定めてある保険事故を直接の原因として生じた損害の範囲を超えた額について保険者に損害填補義務がありとせられるのは、商法第六六〇条の規定に該当する事由によつて生じた損害額に限るべきである。

商法第六六〇条が一方に於いては被保険者に損害を防止する義務を命ずると共にその反面として、そのような損害防止に必要であつた費用又はその為めに有益であつた費用についてのみ保険者にその支払を命じているのは斯る費用の支出が結局は保険者の利益に帰するとの見地にたつているが為めであり、従つて例え支出された費用が保険事故と相当因果関係のある費用とも雖も被保険者以外の支出した総ての費用及び被保険者の支出した費用であつても損害の防止の為めに支出されなかつた費用並にその目的の為に有益な費用と認めざる費用については、保険者はこれを支払う義務が無いものと解すべきである。(昭和十四年(オ)第一〇九二号同十五年二月二十二日大審院民事第四部判決中の理由参照――大審院民事判例集第十九巻上、三一七頁参照)

今本件を見るに、被上告人が被保険者でないことは被上告代理人提出の準備書面(昭和三二年二月十八日第二項1)に於いて自ら認めているところである。

又公認会計士に支払われた一、二五〇弗の手数料は会計係としてのグインの窃盗又は横領行為によつて直接発生した損害でないことは原判決が判示した通りである。

然して右手数料は被上告人がグインが蒙らしめたとする損害調査の為め、自ら雇入れ、調査に対する手数料として被上告人によつて公認会計士に支払われたものであることは、原審に於ける被上告人の自ら認めているところである。

従つて、公認会計士に支払われた手数料一、二五〇弗は、結局商法第六六〇条所定の者によつて、支払われたものでないことが明らかであり、又その支払われた金額も同条に規定されている費用の何れにも該当しないことは、明らかであるから本件保険契約によつて保険者である上告人が支払う義務を有する額であると云うことは云い得ないものである。

従つて公認会計士に支払われた手数料一、二五〇弗の額は、当然被上告人の請求金額から控除されるのが当然であつたにも拘わらず原判決は唯漫然と右一、二五〇弗の額はグインの為した窃盗又は横領行為と相当因果関係にある損害となると云う理由のみで上告人に一、二五〇弗についてもその支払義務があると認めたのは、商法第六六〇条の規定の法意を誤解し、且つ前示大審院民事第四部が昭和十五年二月二十二日に昭和十四年(オ)第一〇九二号事件について為した判決の理由中に示した左記の如き見解に反して為した判決というべきである。

理由「保険者に保険支払義務を生ずるには被保険者に於いて損害防止の義務を履行した場合に限らるべきことは商法第四百十四条(現行第六六〇条)の法意に徴し謂ふを俟たざるところなれども……。」

従つて原判決は商法第六六〇条の規定に違反し且つ前示大審院が為した判例にも違反して為されたものであるから破棄せらるべきものである。

第五点上告人が原審に於いて、弁護士手数料として被上告人が支払つた一、〇〇〇弗は本件保険契約によつて填補される損害に当らないから上告人が支払う義務が無いから被上告人の請求額の内から右金額は控除さるべきであると主張したことに対して、原判決は「レオン・アイ・グリンバーグは被控訴人から昭和二十七年九月頃本件保険契約に基く保険金請求のための一切の手続を依頼され、その費用及び手数料として一、〇〇〇弗を受取り、損害額算定の資料の提供、約款第十三項に定める請求権行使の条件である後記の告訴手続等訴訟提起前の保険金請求のための法律事務をなしたが、控訴人が支払わなかつたので本件訴訟において被控訴人の訴訟代理人として訴訟の進行にあたつている。(中略)右のように弁護士に支払つた費用は会計係の金員の窃盗又は横領行為によつて直接発生した損害ではないから、もし、本件の場合でも告訴手続などをとることなく、被控訴人が請求し、資料の提供に協力するだけで、訴訟を提起するまでもなく保険金の支払を受けられたならば、右費用は、保険事故と相当因果関係のあるものとは認められない。

しかし、本件の場合は告訴手続は後記認定のように約款第十三条によつて、保険金請求権を行使するための要件であり、控訴人は前記認定の会計士の会計監査だけではなお十分でないというので控訴人は弁護士に依頼して交渉したが、なおこれに応じないので本件訴訟の提起を依頼したものであるから、被控訴人がこれらの手続一切を弁護士に依頼したのは必要であつたと認めるを相当とする」と判示し、更に「他方本件損害保険の趣旨は、グインの金員の窃取又は横領によつて被控訴人の受けた損害について、保険金額二万五千弗の限度内では、被控訴人に十分に填補する趣旨であることを合せ考えれば、被控訴人が弁護士に支払つた手数料はグインの金員の窃取又は横領と相当因果関係のある損害と認めるを相当とする。(中略)控訴人は、被控訴人に対して弁護士に支払つた右金千弗を支払う義務があるものといわなければならない」と判示している。

然し右の如き原判決の結論は明らかに本件保険契約上の契約条項に対する解釈を誤り、従つて保険者の責任を不当に拡張するものであるのみならず商法第六六〇条の規定の解釈を誤り、且つ前示の如き大審院の判決と異つた判断を為したものというべきである。即ち、弁護士に支払われた一、〇〇〇弗の手数料の内訳について被上告人が原審において提出した昭和三四年一二月二日付準備書面中、(2)に於いて左の通り述べている。即ち「被訴控人はその代理人に対して同代理人が控訴人と訴外グインに対する告訴に関する打合せ、控訴人よりの通知にもとずきグインに対する警視庁への告訴手続を行わしめた外、本件保険事故に関するアドバイス並びに控訴人又は公認会計士との折衝等の費用、及び報酬として五〇〇弗を支払つた」と主張し更に「被控訴人の代理人が本件訴訟の準備並びに訴状作成、出廷費等に宛てるために更に五〇〇弗を支払つた」と主張している。

然して被上告人が支払つたと主張している前者の五〇〇弗は、被上告人が自ら認めている如く、グインに対する告訴の打合せ並びに警視庁への告訴手続の費用を含むこと前述の通りであるが他方本件保険証券(甲第一号証の二)第一三条の規定によればグインに対する告訴手続の履践は本件保険事故にもとずく保険金請求の前提条件とせられていること、本件保険証券前文の記載に照して明らかなところである。従つてグインに対する告訴手続の履践は本件保険契約上被上告人に課せられた義務の履行に外ならない。

従つて又、告訴手続をするために被上告人がその代理人と種々と打合せ、又上告人との種々の折衝は被上告人に課せられた義務の範囲に属する事項と云わねばならない。そうであるとすれば被上告人がそれらの目的のためにその代理人に対して支払つた費用並びに代理人に対して支払われた報酬はすべて被上告人自身が法律上負担すべきものであつて本件保険契約によつて上告人が支払うべき義務があるとせられるものでないことは本件保険証券の規定の解釈から当然に導き出さるべきものである。

然るに原判決が右の如き配慮をおこたり、唯単に本件保険金請求についての手続一切を弁護士に依頼したことが必要であつたと認めるを相当とする。との理由のみを以て、本件保険契約上被上告人の支払義務に属する被上告人が支払つた費用並びに弁護士に支払つた報酬までも含めて上告人に一、〇〇〇弗の支払義務があると認定したことは明らかに本件保険証券中の契約条項に対する解釈を誤り、不当に上告人の責任を認めたものであるから斯る原判決の結論は違法なものであり、従つて又、判決の結論に重大な影響を及ぼすものであるから破棄せられなければならない。

更に、原判決は被上告人が本件訴訟の提起を依頼し、且つ之を進行するための手数料として弁護士に支払つた五〇〇弗の金額についても上告人が支払う義務があると認定しているけれども斯る費用は被上告人自身が上告人に対する保険金請求と云う一つの法律上の手段を取ることに対して弁護士に支払われたものであることは被上告人の訴訟代理人が昭和三四年一二月二日付準備書面中(2)において自ら認めているところである。そうであるとすれば、右手数料は被上告人が自己の権利の保護並びに利益を実現する方法として国家機関として裁判所を利用するために専門家を雇入れたことに対して支払われたものであるから、斯る手数料の支払が本件保険事故に直接関連して支出された費用でないことも亦、おのずから明らかと云わなければならない。他方、本件保険契約において上告人が被上告人に対して保険金の支払を約したのはグインが被上告人のトレジヤラーとして傭われている間その職務に際して窃盗又は横領行為によつて被上告人が蒙つた損害のうち二五、〇〇〇弗までを填補するとなつていること本件保険証券前文(甲第一号証の二)の記載によつて明らかであることに徴すれば、そのように定められている保険事故に直接何等関係のないことのために支払われた費用までも本件保険契約によつて上告人が支払う義務を負担することまでも約束していると解することは保険契約の性質上出来なかつたはずである。にも拘らず、原判決が前示の如く五〇〇弗についても上告人に保険契約上その支払義務があると判断したことは本件保険契約条項に対する解釈をあやまり法律上不当に上告人の責任を拡大して認めたものであるから、その点についても原判決は違法不当を犯しているものと云わなければならない。この点について原判決は「……もし本件の場合でも告訴手続などを取ることなく被控訴人が請求し、資料の提供に協力するだけで訴訟を提起するだけでなく、保険金の支払を受けられたならば、右費用は保険事故と相当因果関係にあるものとは認められない。

(中略)

控訴人は前記認定の会計士の会計監査だけでは、尚十分でないと云うので、弁護士に依頼して交渉したが、なおこれに応じないので、本件訴訟手続を依頼したものであるから被控訴人が、之等の手続一切を弁護士に依頼したのは必要であつたと認めるを相当とする。」と判示しているけれども原判決の右の如き口吻によれば本件保険金請求のために被上告人から本件訴訟を提起される以前に上告人が無条件に保険金額を支払わなかつたことが、如何にも不当であつたかの如き感を抱かしめているけれども、保険会社が常にあらゆる場合にも保険金の支払請求を受けた時には納得のゆかない場合にも無条件にその支払をしなければならぬと云う一般的法則又は慣行なるものが存するわけでもなく、本件の如く保険事故の発生そのものにつき、保険者たる上告人がうたがいを有する場合には、例え公認会計士の会計監査があつた場合でも、上告人において保険金支払の義務があると納得のいく調査がなされるまで保険金の支払をこばむことも亦保険者たる上告人の業務行為の一つの内容である。その結果保険金請求のために訴えが提起せられ、請求者である被上告人が自己の法律上の権利の確認と利益を実現するために専門家としての自己の弁護士を傭い入れることは被上告人自身のために必要ではあつても、かかる必要がグインの為した窃盗又は横領行為と関連する必要性でないことは縷説を待つまでもあまい。即ち原判決が「本件保険金請求のために提起された訴えを準備し遂行するために被上告人が傭い入れた弁護士に対して支払つた手数料五〇〇弗について単に被上告人が保険金請求をするために必要であつたと云う理由のみで上告人にその支払の義務があると認定したことは本件保険契約に定められている保険事故についての条項を不当に拡大して解釈した結果に起因し、法律上の責任を不当に拡大して上告人に認めたものである。」以上の如き原判決の違法不当は判決の結論に重大な影響を及ぼすものであるから、破棄せられなければならない。

更に弁護士に支払つた手数料一、〇〇〇弗について原判決が為した結論は左の点について重要な誤りを犯しているものである。

被上告人が本件保険契約上被保険者でないことは上告理由第四点中に述べた通りである。

然して、右手数料の支払が商法第六六〇条に規定されている各事項に該当する費用であると認められないことも亦、一見して明らかである。

然して、右手数料の支払が本件保険事故と直接には相当因果関係のあるものとは認められないとすること原判決が認めている通りである。

然して、商法第六六〇条に該当するもの並びに同条項に該当する費用以外に支出した費用について保険者が、保険契約上その支払義務がないことは同条に対する解釈として示された大審院判例(上告理由第四点中に引用した)の趣旨からして論理上導き得る結論である。

従つて弁護士に支払われた手数料一、〇〇〇弗の金額について保険者たる上告人がその支払義務がないことも亦、明らかと云わなければならない。

原判決は右の如く商法第六六〇条の解釈を誤り且つ前示大審院の判例にも違反してなされたものであるから到底破棄をまぬられない。

第六点<省略>

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